なぜコンプライアンス問題は繰り返されるのか? ― 経営トップが見落としがちな「現場との距離」 ―
近年、さまざまな業界でコンプライアンスに関する問題が明るみに出ています。
多くの場合、それらは一夜にして起きたものではなく、長年にわたり見過ごされてきた慣行が背景にあります。
こうした事例を前に、経営者や役員は改めて自問することになります。
「自分たちは、本当に会社の実態を把握できているのだろうか?」
Q1. なぜ経営層は問題に気づきにくいのか?
現代の組織は高度に分業化されており、経営層はレポートや数値を通じて状況を把握します。
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報告は基本的に階層構造を通じて上がってくる
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現場の細かな判断や省略は見えにくい
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成果が出ている間は、疑問が持たれにくい
その結果、「問題が起きていないように見える状態」が長く続くことがあります。
ミニサマリー
経営層が受け取る情報は整理されており、現場の実態が希薄化しやすいのです。
Q2. なぜ「コスト削減・売上拡大」がリスクを高めるのか?
多くの企業で掲げられる
「コスト削減」と「収益目標の引き上げ」
は、経営として自然な判断です。
しかし、この二つが同時に強く求められると、現場では
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手順の簡略化
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本来必要なプロセスの省略
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解釈の拡大
といった対応が起こりやすくなります。
当初は「工夫」だったものが、次第に常態化した慣行になるケースもあります。
ミニサマリー
強い数値目標は、意図せずリスク行動を誘発することがあります。
Q3. 問題が公になると、なぜダメージが拡大するのか?
問題が表面化すると、
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メディア
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株主
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顧客
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規制当局
の関心が一気に集中します。
情報が断片的に切り取られ、企業イメージが急激に損なわれることもあります。
結果として、
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株価の下落
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ブランド価値の毀損
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経営資源の消耗
が起こり、当初の「効率化」の意図は意味を失ってしまいます。
ミニサマリー
事後対応は、予防に比べてはるかに大きなコストを伴います。
Q4. 組織が大きくなるほど、なぜ「信頼」に頼らざるを得ないのか?
事業が一定規模を超えると、トップがすべてを直接確認することは不可能になります。
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営業現場で何が語られているか
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バックオフィスでの細かな運用
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日々の判断の積み重ね
これらは必然的に委任されます。
だからこそ、仕組みとしてのチェック機能が重要になります。
ミニサマリー
スケールする組織では、個人の善意ではなく仕組みが信頼を支えます。
Q5. なぜ問題は「報告されない」ことがあるのか?
ある自動車メーカーの検査不備が明らかになった際、当時のトップは「なぜ内部で指摘がなかったのか」という問いに対し、「報告しても解決されないと考えられていた」という趣旨の説明をしました。
ここに示唆されているのは、
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報告しても意味がないという認識
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失敗が個人に帰属する恐れ
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組織内の心理的安全性
といった要素です。
ミニサマリー
制度があっても、「声を上げても変わらない」という認識があると機能しません。
Q6. 経営トップは、何を実際に確認すべきか?
数値だけでなく、以下のような点に意識を向けることが有効です。
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顧客や取引先と直接話す
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業務フローが設計どおり運用されているか確認する
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「手間がかかる」仕組みが省略されていないかを見る
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定期的な業務・品質監査を行う
特に「いつの間にか変わっていた」プロセスは、偶然の発見で明らかになることが少なくありません。
ミニサマリー
現場確認は、数字に現れないリスクを可視化します。
Q7. 予防と事後対応、どちらに時間を使うべきか?
経営者は常に多忙です。
しかし、問題が表面化した後の対応は、
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時間
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精神的負担
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組織エネルギー
のすべてを消耗します。
「早めに確認する」「定期的に見る」この習慣が、将来の危機対応を減らします。
ミニサマリー
チェックは負担ではなく、経営を守る投資です。
要点整理
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コンプライアンス問題は、構造的に見えにくい場所で起こる
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強い数値目標は、現場の判断を歪める可能性がある
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信頼は仕組みと確認によって支えられる
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予防的なチェックが、最大のリスクマネジメントになる
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