リーダーは「起きたこと」を追うべきか、「起きること」を読むべきか? ― “パックの行方”を読む経営とリーダーシップ ―
なぜ私たちは、いつも後追いになってしまうのか?
伝説的なアイスホッケー選手ウェイン・グレツキー(Wayne Gretzky )は、こう語りました。
「パックがある場所ではなく、行く場所へ滑れ」
この言葉は、ビジネスの世界ではさらに重みを持ちます。
組織は複雑で、関係者は多く、判断の影響範囲も大きいからです。
それでも私たちは日々、起きたことへの対応に追われ、起きることへの準備に十分な時間を割けていないのが現実です。
👉 ミニサマリー:多くのリーダーは、無意識のうちに「追う側」になっています。
なぜ経営は「過去形」になりやすいのか?
Q:私たちは何を見て意思決定しているのか?
多くの組織では、
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売上実績
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KPI
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問題対応
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人のトラブル
といった、すでに起きた事象を材料に議論が行われます。
つまり私たちは、歴史家として過去を解釈することに時間を使いがちです。
失敗を繰り返さないために重要な作業ではありますが、それだけでは未来は変わりません。
👉 ミニサマリー:過去分析は必要条件であって、十分条件ではありません。
「計画」はなぜ、すぐに陳腐化するのか?
Q:年次計画を立てているのに、なぜ追われるのか?
計画が無意味なのではありません。
環境変化のスピードが、計画を追い越してしまうのです。
ここで思い出されるのが、マイク・タイソン(Mike Tyson) の有名な言葉です。
「誰もが計画を持っている。殴られるまでは」
私たちは、毎日どこかで「殴られて」います。
結果、反応型の仕事に埋没してしまうのです。
👉 ミニサマリー:計画より、継続的な予測が重要になっています。
数字は「未来」を語ってくれるのか?
Q:どの指標が先読みを助けるのか?
すべての数字が過去指標ではありません。
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売上のランレート
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月次の累計進捗
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受注・解約の兆候
これらは、最終着地点を予測するヒントになります。
問題が見えた段階で手を打てば、結果は変えられます。
👉 ミニサマリー:先行指標を見れば、今打つべき手が分かります。
成長期に起きやすい「カルチャーの盲点」
Q:人が増えると、何が起きるのか?
急成長する組織は、採用とオンボーディングに忙殺されがちです。
しかし、文化の予測を怠ると、知らない間に組織の一体感は失われます。
新規採用が多数派になった瞬間、既存文化は薄まります。
これは良い悪いの問題ではなく、予測していなかったことが問題なのです。
👉 ミニサマリー:成長は、文化を自動的には守ってくれません。
ビジョン・ミッション・バリューの役割
Q:なぜ「言葉」が重要なのか?
急拡大時に必要なのは、判断のよりどころとなる共通言語です。
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なぜこの会社は存在するのか
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何を大切にするのか
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どう行動するのか
これが曖昧だと、組織はバラバラに進み始めます。
👉 ミニサマリー:価値観は、成長期の接着剤です。
人に関する「予測」が最も難しい理由
Q:なぜ人材は後手に回りやすいのか?
売上や供給は数値化できます。
しかし、
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離職の兆候
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エンゲージメントの低下
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将来のリーダー不足
は見えにくいものです。
人口減少社会では、人材不足は例外ではなく必然になります。
👉 ミニサマリー:人材は、最も重要で最も予測が難しい資源です。
未来のリーダーは、いつ育てるべきか?
Q:昇進させてから育てるのは遅いのか?
多くの組織では、
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人が足りない
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とりあえず昇進させる
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うまくいかない
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交代する
というループが起きがちです。
育成は、任命前が最も効果的です。
信頼を失ってからの修復は、非常に困難です。
👉 ミニサマリー:準備不足の昇進は、組織コストを高めます。
本当に問われる問い
ここで自問してみてください。
「私は、どれくらいの時間を“予測”に使っているだろうか?」
日々の忙しさの中で、意図的に未来を見る時間を確保しない限り、私たちは永遠に反応型であり続けます。
👉 ミニサマリー:予測は、時間管理の問題でもあります。
行動指針
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先行指標(ランレート等)を定義・可視化する
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採用増加時の文化への影響を事前に想定する
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将来必要なリーダー数を算出し、候補者を特定する
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任命前に、リーダーシップ研修を実施する
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毎日・毎週「予測のための時間」をスケジュールに入れる
まとめ:パックは、もう動き始めている
パックは、私たちが見ていない間にも動いています。
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人材市場
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組織文化
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リーダーシップの質
どこに向かっているのかを読む力が、これからの経営とリーダーシップの分かれ道になります。
あなたは、パックの行方を見ていますか?
要点整理
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多くの意思決定は過去に基づいている
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予測は計画よりも重要な時代
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成長は文化を壊す可能性がある
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人材とリーダー育成は最大の先読み領域
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予測の時間は、意図的に確保する必要がある
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