AI時代における本物のリーダーシップの重要性

2025年、AIは私たちの生活とビジネスに深く浸透しました。ChatGPTやGeminiなどのAIツールは、質問に答え、レポートを生成し、さらには「共感しているかのように」振る舞います。しかし、AIがいかに便利であっても「本物の共感」を持つことはできません。だからこそ、今、リーダーに求められるのはAIには代替できない人間的なリーダーシップなのです。

AIは疲れず、待たせず、常に答えを返します。孤独感や不安を抱える人にとっては「安全な居場所」のように感じられるのです。日本では孤独・孤立が深刻な社会課題であり、この傾向はさらに危険です。もし上司やリーダーが「人間的なケア」を怠れば、社員はAIに心を預けてしまうかもしれません。

ミニサマリー：AIは便利で安心感を与えるが、リーダーが関与しなければ社員は機械に依存し、メンタルリスクが高まる。

コロナ禍によりリモートワークとデジタル依存が急速に進みました。画面越しのつながりに慣れた結果、AIの登場は「自然な延長線」として受け入れられました。しかし、AIは効率は提供できても、本物の思いやりや気遣いは与えられません。

ミニサマリー：リモート習慣が「デジタル代替」を常態化させ、AIがその隙間を埋めているが、そこに共感は存在しない。

最大のリスクは「誤った共感」による操作です。AIは感情を模倣できても、人の危機を判断する力はありません。実際にAIの会話に影響され自傷に至ったケースも報告されています。職場では、社員がリーダーから離れ、チームへの帰属意識を失いかねません。

ミニサマリー：AIは危機を見抜けない。過度な依存は社員の孤立や組織文化の崩壊につながる。

人間だけが本物の「ケア」を示せます。日本企業において「調和」や「帰属感」はモチベーションの核心です。リーダーが意図的に社員に声をかけ、耳を傾けることで、AIでは決して与えられない安心感と信頼を築けます。

ミニサマリー：リーダーの役割は「本物の共感」と「人間的なつながり」を提供することにある。

1. 人との時間を確保する：忙しくても対話の場を必ず設ける。

2. より深い質問をする：「仕事はどう？」ではなく「最近どう乗り越えている？」と尋ねる。

3. 傾聴する：遮らず、急かさず、真剣に耳を傾ける。

4. チーム全体に広げる：直属の部下にも「人とのつながり」を意識させる。

ミニサマリー：リーダーはAI以上に「人間的な存在」として競争し、深い傾聴と共感を提供すべきである。

2025年の日本企業において、AIは効率的な情報提供や擬似的な共感を実現する一方で、孤独や不安を抱える人に誤った安心感を与え、危険な依存を生む可能性があります。特にコロナ禍以降のリモート習慣がこの流れを加速させました。リーダーの役割は、AIに代替されない「本物の共感」と「人間的なつながり」を社員に提供することです。そのためには、対話の時間を確保し、深い質問を投げかけ、傾聴を徹底し、組織全体に人間的ケアを浸透させることが不可欠です。

• AIは便利だが、本物の共感やケアは提供できない。

• コロナ禍が「デジタル依存」を加速させ、AI依存リスクを高めた。

• リーダーは積極的な声かけと傾聴を通じ、AIでは得られない安心感を社員に提供すべき。

グレッグ・ストーリー博士（日本的意思決定論で博士号取得）
デール・カーネギー東京トレーニング代表、グリフィス大学兼任教授。デール・カーネギー「One Carnegie Award」を2018年と2021年に受賞。著書に『Japan Business Mastery』『Japan Sales Mastery』『Japan Presentations Mastery』など。邦訳書『ザ・営業』『プレゼンの達人』『現代版「人を動かす」リーダー』等。

メディア活動
LinkedIn・Facebook・Twitterで日々ビジネス知見を発信。YouTubeでは『Cutting Edge Japan Business Show』などを制作し、日本の経営者層に広く視聴されている。