プレゼンテーション

プレゼンテーションにおける正しい呼吸法

ソート・リーダーシップ・シリーズ ビジネスプロ #30 (プレゼンテーション)

大切な会議、会社の紹介や交渉といった、我々のビジネス生命にかかわる様々な場面でプレゼンの機会が登場します。プレゼンでの成功が、我々の生命維持にも関わってくるのです。

 

普段、我々はさして意識もせずに呼吸を行っているかと思います。なぜなら肺をはじめ、心臓や消化器官といった『我々の生命維持』に関わる器官は『自律神経』によって管理されているからです。そんな生命維持に係る器官のなかで唯一、肺と呼吸は、我々が意識的にコントロールすることが可能なのです。今日は我々の生命維持に関わる呼吸とプレゼンの密接な関係について話したいと思います。

 

ストレスを感じる場面に出くわすと、我々の体はストレスを抑制しようとしてノルアドレナリンを分泌します。この分泌によって交感神経が亢進され、覚醒作用を起こされた体は、心拍数、呼吸、血圧があがり興奮状態に入ります。そして大抵の場合、目の前の状態がストレスであることや、半ば過呼吸のような状態になっていることで、体が酸素を上手く取り入れられなくなっていることとあいまって、我々はこの変化に対応しきれなくなります。酸素が少なく脳が働かなくなるので、頭の中が真っ白になり、それでも何か言わねばと焦り、パニックに陥いります。そこで絞り出したその声に、力が乗っている方が逆に驚きます。では、ここで少なくとも呼吸だけでもコントロールできていたらどうでしょうか?肩甲骨を引き付け、広がった肺が適量の酸素を取り込めれば、最低でも脳と体に酸素がいきわたります。動く機能を取り戻した脳はすべきことを把握し、十分な酸素を得た体は声を出せる力を得ます。そう、我々は、自分の呼吸はコントロールできるのです。
ではどのように呼吸をコントロールするのでしょうか。

 

呼吸はどのようにコントロールすることが出来るのでしょうか。直接の関係として勿論、自立神経のバランスを元に戻すことです。高まった交感神経に、副交感神経を追いつかせればよいのです。リラックスや落ち着きを感じるテクニックにはいくつかありますが、武道の点から見てみましょう。武道家が神経を落ち着かせるためにするのは『深呼吸』です。これならそれほど時間もかかりませんし、立った状態でも座った状態でも実施が可能です。目を開いたままで大丈夫ですので、まずは姿勢を正してください。スマートフォンやデスクワークの利用機会の多い我々は、猫背の方が多いです。猫背では肺が圧迫されているので、十分に肺を使いきれません。肩甲骨を寄せてください。自然と胸が張り、息が吸いやすくなったかと思います。次に、お腹の上に両手を軽く置きます。息を吸い込みながら、横隔膜に意識を集中してください。横隔膜がゆっくり拡がるのを感じながら肺が空気で満たされていくイメージを思い描いてください。セットしていたお腹の上の手がゆっくりと前に出始めたら上手くできている証拠です。次に、取り込んだ空気を吐きだします。ゆっくりと息を吐き、お腹の上の手がセットポジションに戻ってくることを感じてください。全体のポイントは『ゆっくり行う』ということです。早過ぎたり強すぎたりすると、一度にたくさんの酸素が頭に入ってしまい、くらくらしてしまうこともあるからです。こと、これからプレゼンをする場において、聴き手には我々の呼吸のリズムは見えることはまずありませんので、聴き手の目を気にする必要はありません。姿勢を正し、手を添え、横隔膜を意識します。お腹が前に押し出されることを感じ、息を吐く際に手が元の位置に戻ることに意識をおきます。正しく呼吸をコントロール出来れば、自律神経も落ち着きますので、結果として心拍数や血圧にも落ち着きが出ます。そして、酸素のいきわたった素敵な姿勢のまま、プレゼンに臨むことが出来るのです。自信に満ち溢れた見た目、落ち着き、クリアな思考でご自身の生命を左右するプレゼンも、見事に決められてください。

 

Dr. Greg Story

President of Dale Carnegie Tokyo Japan

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