日本で本当にDEIを実現するには:「インクルージョン(包摂)」から始める | デール・カーネギー東京
日本のDEIは“認識”から“行動”へ
近年、日本でも「ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン(DEI)」研修が増えています。
しかし多くの場合、その焦点は「DEIとは何か?」という認識向上にとどまっています。
最初に企業から「ダイバーシティ研修」の依頼を受けた際、対象は“女性だけ”というケースが多くありました。
海外では人種・宗教・LGBTQなど多様な課題が中心ですが、日本では主に「性別」が焦点です。
外国人や異宗教の人口が少ないため、日本のDEIは独自の形を取っています。
けれども、多様性や公平性は「結果」であり、出発点ではありません。
最初に取り組むべきは「インクルージョン(包摂)」です。
信頼と尊重がなければ、DEIは絵に描いた餅になります。
ミニサマリー:
日本のDEIの鍵は「制度」ではなく「人のつながり」にある。
信頼と心理的安全性をどう築くか?
インクルージョンの土台は、信頼・信用・尊敬です。
どれか一つが欠けても、他の二つは成立しません。
リーダーは誠実さ、一貫性、倫理性、透明性で信頼を築く必要があります。
間違いを認め、地位やプライドに縛られず柔軟に対応する姿勢は、日本では特に尊敬を集めます。
デール・カーネギーの人間関係の原則は、今でも効果的です。
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他人を批判しない
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努力を心から評価する
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自分の話ではなく、相手の話に関心を持つ
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話を遮らずに最後まで聞く
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相手の立場に立って考える
こうした姿勢が心理的安全性を生み、社員が安心して意見を言える文化を育てます。
ミニサマリー:
信頼は役職で得るものではなく、日々の行動で築くもの。
インクルージョンを左右する4つの要素
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表情
表情が険しいと「近寄るな」という無言のサインになります。笑顔は最大の招待状です。 -
態度
無意識のボディランゲージに注意。首を横に振るだけで否定のメッセージになります。 -
言葉
伝え方の工夫が反発を防ぎます。外交的な表現力が重要です。 -
声のトーン
同じ言葉でも声の調子で意味が変わります。皮肉や冷たさは、組織文化を一瞬で壊します。
ミニサマリー:
インクルージョンは日々の“ミクロコミュニケーション”から始まる。
文化的自覚こそ、インクルージョンの推進力
意識的・無意識的なバイアスは、インクルージョンの最大の敵です。
私たちは育ちや経験、世代によって無意識の偏見を持っています。
問題は「自分がそれを変える気があるかどうか」。
経営層が「多様性はビジネス上の強み」と明言しなければ、インクルージョンは進みません。
信頼がある職場では、部下も上司に対して無意識の偏見を指摘できます。
私自身、新しいスタッフにこう伝えています:
「もし私の言動で不快なことがあれば、教えてください。気づいていないだけかもしれません。」
特に女性スタッフに対しては、男性としての視点の限界を認め、意見を歓迎しています。
インクルージョンは、自己理解と対話の積み重ねです。
一人ひとりの努力が必要ですが、その環境を整えるのはリーダーの責任です。
ミニサマリー:
インクルージョンは「自己認識」と「対話」から生まれる。
要点まとめ
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日本のDEIは「インクルージョン(包摂)」を起点にすべき
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信頼と心理的安全性が、インクルージョンを支える基盤
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表情・態度・言葉・声のトーンが職場文化を形づくる
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無意識の偏見を減らすには、自己理解とリーダーの姿勢が不可欠
組織に「信頼」と「包摂」を根づかせるリーダーシップを学びましょう。
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デール・カーネギー・トレーニングは、1912年米国創設以来、リーダーシップ、セールス、プレゼンテーション、エグゼクティブ・コーチング、DEIなど、世界中で100年以上企業と個人を支援してきました。東京オフィスは1963年設立、日本企業と外資系企業の成長を支え続けています。