プレゼンテーション

プレゼンテーションで動画は本当に必要か? ― 動画に逃げる話し手と、動画を支配する話し手の決定的な違い ―

なぜ動画は「下手なプレゼンターの避難所」になりやすいのか?

動画は本来、強力な表現手段です。
しかし残念ながら、プレゼンテーションの現場では誤用されることが非常に多い。

特に日本では、

  • 単調

  • 抑揚がない

  • 感情が伝わらない

そんな話し手が、自分のスキル不足から目を逸らすために、動画へ注意を逸らそうとする場面をよく目にします。

動画は、観客にとっては一時的な救済です。
しかしそれは、話し手にとっての「逃げ」にすぎません。

ミニサマリー
動画は補助装置。話し手の代役ではありません。

なぜ動画はプレゼンターの「顔」と競合するのか?

プレゼンテーションにおける最大の情報源は、話し手の顔・表情・声・エネルギーです。

動画を流した瞬間、

  • 視線はスクリーンへ

  • 感情は映像へ

  • 主導権は話し手から離れる

私はこの理由から、動画使用を極力避けています。
自分の表情と言葉の力を、最大限使いたいからです。

ミニサマリー
動画は注意を奪います。主役を奪わせてはいけません。

それでも動画が有効になるのはどんな時か?

動画には、他の手段では代替できない力があります。

  • 動き

  • 音楽

  • 写真

  • スピード感

  • 他人の表情

短時間で、強い感情と物語を伝えることができます。
私たちは日常的に動画に親しんでおり、抵抗感もありません。

ミニサマリー
動画は「短く・明確に・目的がある」場合のみ効果を発揮します。

動画が特に有効な業界・場面とは?

以下のような領域では、動画が力を発揮します。

  • ブランド

  • デザイン

  • パッケージ

  • 建築

  • 製造プロセス

スピード感や質感、スケール感を伝えるには、
動画が最適な場合があります。

一方、日本の企業PR動画は、長く・説明的で・退屈になりがちです。

ミニサマリー
動画が向いている業界と、向いていない使い方があります。

なぜ「とりあえず動画」は失敗するのか?

最大の問題はこれです。

その動画は、このプレゼンのために作られていますか?

答えの多くは「NO」。
社内の動画ライブラリから、無理やり選んだ映像を使っていませんか?

  • メッセージが微妙にズレている

  • 話の流れと合っていない

  • ただ“それっぽい”だけ

これは、四角い杭を丸い穴に叩き込む行為です。

ミニサマリー
動画は合致して初めて意味を持ちます。

なぜ冒頭に動画を置くのは危険なのか?

プレゼン冒頭は、話し手と聴衆の関係構築の時間です。

そこに動画を置くと、

  • まだ関係ができていない

  • 注意が話し手から離れる

  • 集中が分断される

さらに多くの場合、

  • 再生トラブル

  • リンクが動かない

  • 切り替えにもたつく

結果、聴衆はスマホに逃げます。

ミニサマリー
冒頭動画は、関係構築を壊すリスクが高い。

動画後に起こる「致命的なギャップ」とは?

動画が高エネルギーだった場合、その後に話し手が

  • 低テンション

  • 単調

  • 無表情

だと、落差は致命的です。

聴衆は心の中でこう思います。

「もう一度動画を流してくれ…」

これは完全な敗北です。

ミニサマリー
動画より魅力的でなければ、使う資格はありません。

動画を使うなら、何を設計すべきか?

動画使用には、必ず2つの橋が必要です。

  1. 動画に入るためのブリッジ

    • なぜ今これを見るのか

    • 何に注目してほしいのか

  2. 動画から出るためのブリッジ

    • 何が重要だったのか

    • メッセージとどう繋がるのか

そして動画は、

  • 短く

  • 明確で

  • 価値がある

ものでなければなりません。

ミニサマリー
動画は支配するもの。支配されてはいけません。

要点整理

  • 動画は話し手の代役ではない

  • 主役は常にプレゼンター自身

  • 動画は短く、目的を明確に

  • ブリッジ設計なしの動画使用は失敗する

動画を使うかどうかではなく、 どう使い、誰が主導権を握るかが成果を分けます。

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デール・カーネギー・トレーニングは、1912年米国創設以来、リーダーシップ、セールス、プレゼンテーション、エグゼクティブ・コーチング、DEIなど、世界中で100年以上企業と個人を支援してきました。

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